ビル業界トピックス

メタバース上に商業ビル出現 現実とリンクで新たな収益に

 ZWEISPACE JAPAN(東京都千代田区)はAIやブロックチェーンなどを活用した不動産業界向けのソリューション事業を展開している。今年1月、同社開発のブロックチェーン「Zweichain(ツバイチェーン)」やメタバース空間を活用して、現物不動産をベースとしてNFTの制作と販売を開始した。

 NFTは「非代替性トークン」と呼ばれ、改ざんすることが困難なブロックチェーン上に記録される権利のこと。ゲームやアートの分野でNFTの活用が盛んになっている。音楽家の坂本龍一氏が「戦場のメリークリスマス」を構成する595音を1音ずつNFTで販売するなどして、注目された。デジタル仮想空間であるメタバースとの相性も良く、例えばメタバース内で分身となるアバターが着用するファッションなどを製作して、NFTで販売するケースも見受けられる。

 ZWEISPACE JAPANでのメタバースを活用した取り組みは、昨年6月に東京オリンピック・パラリンピックに合わせて行った「Tokyo Coinpic(東京コインピック)」に続き2例目となる。今回の取り組みでは、メタバース上に現物の商業ビルの複製となるデジタルツインを作成、そこに仮想のアパレル店舗を展開。メタバース上の参加者はそのアパレル店舗でアバターを介して試着することができる。今後はEC決済をして、現物が届く仕組みも実装していく。不動産オーナーにとっては、このメタバース上で貸し出しているフロアから収益を得ることができる。

 代表取締役の亀田勇人氏は「コロナ禍で外出自粛ムードが広がり、店舗は売上高を落とし不動産オーナーは賃料減額や空室率の上昇に悩まれています。これに対するソリューションになると考え、今回の取り組みをスタートさせました」と話す。
活用は店舗にとどまらず、オフィスにも広げていく。このメタバース上でスタートアップ企業の成長を支援するアクセラレート付きのコワーキングスペースの展開を予定している。世界各国の不動産テックや建設テックベンチャーの起業家・スタートアップ、また国内外のVCなどの参画を目指す。
国内では昨年より「メタバース」が注目され始めた。その一方で海外ではFacebookの運営企業が社名を「Meta」と改め、メタバース事業に重心を置く。ただ亀田氏はそのようなGAFAの動きも織り込み済みだ。
「NFTやメタバースには昨年初頭より注目していて、海外での取り組みが始まる以前より音声プラットフォーム『Clubhouse』にて発信を行っておりました。今回のメタバース関連の取り組みは日本だけでなく、海外においても同時並行で展開していきたいと考えています」(亀田氏)

 日本ではまだ馴染みの薄い「メタバース」や「NFT」だが、同社の取り組みが発表されてから複数の不動産企業からの反響も来ているという。それを活用した不動産ソリューションが出てくる中で、中長期的にこのキーワードには注目しておきたい。

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