ビル業界トピックス

パーキング上部の活用提案 昨年11月「PhilPark田町Shibaura」が竣工

 駅近くのコインパーキングや月極駐車場は常に高稼働で収益性が高い。そこへ更に新たな収益に繋がるビジネスを提案している企業がフィル・カンパニー。駐車場の空中部分に着目した事業がオーナーに好評を得ている。

低層のテナント物件建設 全工程を一気通貫で実施

 フィル・カンパニー(東京都中央区)は、空中店舗「PhilPark(以降、フィル・パーク)」などの空間・ソリューション事業を展開している。昨年11月末には「PhilPark田町Shibaura」が竣工した。

 フィル・パークは、月極駐車場やコインパーキング等の空中部分に対しての利活用を提案するサービス。コインパーキングを残しながら、上部に低層のテナント物件を建設。パーキングの収益に加えて、テナント収益も生み出すビジネスを広めてきた。対象エリアは都市部をはじめ、地方都市などの未活用空間。その場所に最適な用途やテナントを見極めて企画。地主(オーナー)・入居者・地域で暮らす人、それぞれの思いを満たす「三方よし」を基に、企画・設計・建築・テナント誘致・投資回収といった全工程を一気通貫で行う。2023年11月時点で実績数は258棟。うち自社での開発は40棟。請負は218棟に及ぶ。

 特徴は他社にとって難しい土地(駐車場)の活用を丁寧に提案できること。コインパーキングの地主は、パーキング上部の利活用方法を知らない。一方駅至近のコインパーキングであると、高い収益性を生み出している。大通りから一本入った裏手のパーキングや駅から多少離れた場所であっても昨今は収益性や稼働率は良い。これら駐車場の上部に、立地エリアに適したテナント区画を構築。美容室やフィットネスジム、学習塾等の来店型サービス店舗やクリニックなどを誘致した実績も持つ。地主及び不動産オーナーとテナントを結び付けることを得意とし、街の回遊性向上や賑やかな雰囲気の形成など、地域の付加価値にも繋げている。

ガラス面を配置した外観 看板効果で絶好の場所

 新たに竣工した「PhilPark田町Shibaura」は、JR「田町」駅から徒歩5分に立地。都営地下鉄「三田」駅からは徒歩7分と、複数路線が利用できる。規模はS造の地上6階建て。延床面積は1444・68㎡(437・02坪)。敷地面積は361・17㎡(約109坪)。各階スケルトン渡しで、1フロアは70坪弱。1階のみコインパーキングと店舗で35坪ほど。既に2~3階は幼児教室、4階は内科クリニック、5階は女性専用ピラティス、6階は歯科・皮膚科が成約済み。同社に依頼したオーナーはリピーターで、他の上部利用でも成功していることが同案件に繋がっている。

 また田町・芝浦エリアは、現在も高層住宅やオフィスビルの建設が活発に行われている。近隣エリアにも同様の動きがあり、今後も住民やワーカーの増加が期待されている。加えて年齢別人口構成比では、0~4歳と30~40歳の割合が他エリアに比べて高い。子育て世代かつ高所得者が多く住む地域だ。オフィスビルも多いことから、ランチや夜間の飲食ニーズも高い。同社は双方のニーズから、ガラス面を多く配した外観を計画。外からの視認性が良く、入居するだけで看板効果がある。サービス店舗とは相性が良い。出店地域としても人気が高いため、絶好の場所と言える。

 執行役員 企画開発本部長の肥塚昌隆氏は「今回は地上6階建ての建築事例となりますが、大半は地上3階建ての建築が多いです。来店型のサービス店舗と相性が良く、過去の経験や調査結果を基に、どの様なテナントに適した場所か見極めながら建物を開発しています。まちの『スキマ』を埋めていくイメージで、今後も継続して展開していきます」と語った。

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