ビル業界トピックス

地上8階建て「マスノスクエア立川」 「立川」駅南口に誕生した中規模新築ビル

 桝屋アセットパートナーズ(東京都千代田区)は、日本国内及び海外の不動産における投資、売買、賃貸、開発、再生、管理、運用事業を手掛けている。今年5月末には、関連会社で不動産賃貸業を展開する藤商事(東京都西多摩郡)が事業主を務める「マスノスクエア立川」が竣工した。

夜間は街の明かりが反射 素材感生きるファサード

 桝屋アセットパートナーズは、1907年(明治40年)に「合資会社桝屋商会」として秩父セメントの全国3番目の代理店として創業。生コン・セメントの販売を続けてきた。1967年には桝屋建材として分社独立。1990年に「マスヤオーム株式会社」と社名変更し、建築・分譲事業へと転換した。1991年からはグループ会社の不動産開発・管理・サブリース・建築・分譲へ事業を拡大。2018年に現在の社名へ変更し、変わらず国内外の不動産投資事業で実績を伸ばしてきた。

 今回の「マスノスクエア立川」開発も多摩地域に根差した商いが要因となっている。グループ企業の多くが本社オフィスを多摩地域に構えており、取引先も多い。同社社員も多摩地域へ足を運ぶ機会は多いことから、ちょうど中継地点に当たる立川に自社グループのオフィス機能を持つ、自社社員も使用できるサテライトオフィスの重要性を感じて開発に至った。同地に建っていた商業ビルを取得後に建築プランを練りはじめ、過去の開発実績を元に同ビルへと至った。

 「マスノスクエア立川」は地上8階建て、オフィス・店舗の複合ビル。延床面積は557・05㎡で、基準階面積は66㎡(約20坪)。1~3階は飲食店舗を想定し、4~5階は来店型のサービス店舗を対象にリーシング。6~7階は診療所の想定。8階に自社グループのサテライトオフィスを構築する。特徴はJR「立川」駅徒歩1分以内の好立地に加えて、視認性に優れた素材感のあるファサードデザインを採用したこと。様々な素材で構成することで印象的な質感となり、時間帯によってビルの表情が移り変わる工夫を施した。駅からの視認性の良さを最大限生かしつつ、夜間には街の明かりが反射して素材感が生きるファサードとなっている。たとえ空室が発生しても外観からは気づかれず、むしろビルの意匠性や表情がお洒落なデザインを維持できる。

 代表取締役専務の中山裕貴氏は「賃料が最も高い1階の床面積確保を優先するため、EVと避難階段を前面道路側に配置しました。共用廊下をなくしたことで、床面積を大きく確保できたことは当ビルの特徴です。またテナント間口を最大化するため、避難階段をビル横側へ鉄砲階段(直線階段)として設置しました。1階路面店のエントランス横に階段の上り口を造り、4階までは避難階段から店舗内へのアクセスが可能です。一方4階より上の避難階段は、道路とは反対側で折り返す構造となっています」と、構造についても機能性を突き詰めた。

 その他にも許容容積率500%に対して499・94%を実現。建物の転倒(基礎浮き上がり)防止のためにアースアンカーを導入。内装は基本的にA工事のみのスケルトン渡しだが、リーシングも意識して上層階は最小限の仕上げを施した。

 現在入居の問い合わせが多いため、慎重に入居テナントを選定している。また同ビルは長期保有を視野に開発したが、投資用不動産として運用することも検討している。中山氏は「これまでの当社グループでの不動産投資実績は、売却済みも含めて約80棟700億円となります。長期運用と短期とで使い分け、今後も都心エリアを中心に不動産投資事業を展開していく方針です」と語った。

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