ビル業界トピックス

大手・スギ薬局が銀座初進出 成長企業が語る「出店したいビル」とは

 ドラッグストア・調剤薬局の大手、スギ薬局(愛知県大府市)は今月5日、「マルイト銀座ビル」の1階に銀座一号店となる「銀座一丁目店」をオープンした。

 場所は東京メトロ「銀座一丁目」駅徒歩1分、JR「有楽町」駅徒歩2分の角地。オープンの経緯について、関東店舗開発部 店舗開発課の駒田智之氏は「コロナによる外出自粛が緩和された現在、当社では都心の繁華街を中心としたインバウンド対応店舗を増やしていく方針を掲げています。その中で、『マルイト銀座ビル』のリーシング担当者様とご縁もあって、入居が決まりました。繁華街とビジネス街の両側面を持っているというエリアの特性上、調剤から医薬品・食品・化粧品等の販売に至るまで、様々な需要にこたえられると見込んでいます」と話す。

 スギ薬局は1976年、愛知県西尾市下町に創業。薬と一緒に日用品などを扱う、ドラッグストアのはしりともいえる。競合がひしめくドラッグストア業界の中でも、調剤薬局としての確かな実績がスギ薬局の特長。ドラッグストアの大手では、調剤薬局の併設率は5割弱と言われている。一方のスギ薬局は、現在1600以上の店舗の経営をしている中で、2022年度の調剤薬局の併設率は84・4%。この高い併設率も後押しし、年間の新規出店数は100店舗以上と著しい成長を遂げている。

 店舗の成長に欠かせないのが、出店戦略。今回の「銀座一丁目店」のように、都心店の場合はビルの路面階に出店することがほとんどだ。その際に重視している点とは何か。

 「視認性の高さは重要だと考えているため、1階の間口の広いビルを選んでいます。ドミナント戦略でエリア内に集中することもあれば、街の利便性を考えて競争がいない場所に出すケースなど、パターンは様々。他にもエリアを象徴する商店街への多店舗展開で、ブランド認知の向上にも注力しています。今夏、上野アメ横の中通りに3店舗、浅草は国際通り、新仲見世通りに出店し、間もなく雷門と仲見世にもオープンします。また当社の場合は調剤薬局の比重が高いため、銀座のようにクリニックの激戦区も好ましいと考えています」(駒田氏)

 インバウンド需要が回復し、勢いを増すドラッグストア業界。スギ薬局も例に漏れず、22年度の売上高は6676億4700万円に達した。今後は年間売上1兆円を目指し、多くのニーズに応えていきたいとしている。

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