ビル業界トピックス

コリアーズ・インターナショナル・ジャパン 東京・大阪のオフィスマーケットレポート最新版を発表

働き方の変化・多様化に伴って新たな移転需要

総合不動産サービスを展開するコリアーズ・インターナショナル・ジャパン(東京都千代田区)は、四半期ごとに発表するオフィスマーケットレポートの最新版(4~6月期)を公表した。東京主要5区および大阪市中心部のグレードAオフィスビルの賃貸オフィス市況と今後の見通しについて、独自データに基づいて分析したもので、東京版は3日、大阪版は9日に公表された。

2023年4~6月期の東京主要5区の賃貸オフィス市場は、全体的に需要は強くはないものの、新規供給量が比較的控えめな水準にとどまったため、わずかながら空室率が低下した。賃料は依然として下落傾向にあるが、そのペースは鈍化している。2023年後半には虎ノ門や渋谷などで大型再開発の竣工が多く予定されているため、新築大型物件の内定状況によっては、空室率の上昇も予測される。

リサーチ責任者の川井康平氏は「コロナ禍で働き方の変化や多様化が起き、各企業は従業員の働き方に合わせたオフィス内装への変更が求められています。一方でオフィスを使いながら内装の大掛かりな工事を行うことは難しく、内装変更を目的としたオフィス移転需要が生まれてきました。今年後半に竣工する新築ビルの成約状況はエリア間で差異が生じており、空室率の上昇を予測する向きもありますが、新しい移転需要が生まれていることもあり、今後の見通しを立てるのが容易ではない状況といえます」と話す。

大阪市中心部では直近四半期で新規供給がなく、需要が緩やかに回復傾向にあったものの、2023年の後半に2万坪超の新規供給が予定されており、また2024年も6万坪を超える新規供給が見込まれていることから、オフィス空室率は上昇傾向になるものと予測される。東京では前述のようにオフィス内装の変更を目的とした移転需要が顕在化する傾向にあるが、大阪でも今後はこうした移転需要が現れてくる可能性もあると川井氏は分析している。

タイトルとURLをコピーしました