ビル業界トピックス

エリアリンク 7年で営利100億円20万室目指す 中期経営計画ふまえメディア説明会を実施

 エリアリンク(東京都千代田区)は15日、報道機関向けの説明会「メディアラウンドテーブル」を開催した。今年3月に同社代表取締役に就任した鈴木貴佳氏が参加し、不動産や物流の専門メディア7社を前に今後の戦略などを語った。

ストレージの強み生かして安定成長

 1995年、ウェルズ技研の社名で創業した同社は、1999年には現在の主業であるセルフストレージ(レンタル収納スペース)事業を開始。2000年に社名をエリアリンクに変更し、以後順調に業容を拡大。現在では「ハローストレージ」の名称で沖縄県を除く全国に展開しており、売上と貸室室数はセルフストレージ業界トップとなっている。

 15日に初めて開催した「メディアラウンドテーブル」は、スピーカーである鈴木社長と聞き役であるメディアが同じ「円卓」につくことでビジョンを共有するのがねらい。今回はセルフストレージ業界と同社の現状説明の後、年初に発表した中期経営計画にもとづいた将来の展望を発表した。

 同社の2022年の売上高は208億円。うち78%を占めるストレージ事業の強みは、高い収益性と低コスト、用地確保から運営開始までの期間が短いことなど。同社ではビルのフロアを賃貸してストレージとするビルイン型、専用の建物を建築する建築型、輸送用コンテナを利用したコンテナ型を展開しているが、初期投資が抑えられるビルイン型とコンテナ型の利回りは18%と高い利回りを維持している。

 コストカット策としては、無人運営で人件費を抑制するとともに、新規出店候補地の選定は過去のデータから割り出して精度を上げるなど、属人的な業務を削減。数年前まで約130名いた社員数は現在70名ほどとした。それでも一人あたりの売上げは約4200万円で、これは上場企業でも上位という。

 セルフストレージ市場が拡大するなか、同業他社との差別化も必要となってきている。同社ではハローキティとコラボした認知度向上策や施設デザインのリニューアルなどを実施し、今年3月現在の稼働率は90・42%という高水準。同社では「住宅面積の狭小化や住宅価格の上昇によるセルフストレージニーズの拡大に後押しされた」と分析するが、前述の出店精度の向上による新規物件の稼働率向上などの効果も現れてきているようだ。

 今後の経営計画では、現在の10万室を今後7年で20万室へと倍増させる。営業利益も今後3カ年で平均15%成長を継続させ、現在の37・5億円から7年後には100億円を目指すとしている。こうした目標達成のため、まず手をつけるのが新規出店の加速化だ。2022年の出店数2915室を今年は4700室とし、2024年に1万400室、2025年には1万4000室とする。

 同社はこうしたビジョンを描けるようになった理由に、数年をかけて整備してきた「出店加速ができる環境」が整ってきたことを挙げる。データベースにもとづき出店した施設はいずれも高稼働で、6カ月で損益分岐点を超え1年で稼働率80%に達するという。

 また、他社のM&Aの検討や代理店による営業、受託倉庫の組織化などにも取り組む。さらに、海外への展開も視野に入っている。マンパワーにたよらない効率的な営業で一気に出店できる体制を構築し、業界シェア50%を目指す。

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