ビル業界トピックス

「環境保護」にこだわったビル清掃 独自のオーガニック洗剤利用 現場への移動は電気自動車

 関西一円で住宅や店舗・ビルなどの建物クリーニング事業を手掛けるエシカルノーマル(大阪市東淀川区)は、「環境保護」に徹底的にこだわるのが特徴で、近年はSDGsに対する意識の高い企業や消費者などからの引き合いが増えているという。

有毒性80%軽減エシカルノーマル

 同社の環境保護への取り組みとしては「移動には電気自動車を利用」「ユニフォームや用具はサステナブルな素材やリユース製品を使用」などがあるが、中でも特徴的なのが「微生物の力で汚れを分解する、オリジナルのオーガニック洗剤」の活用だ。この理由について同社本川誠社長は次のように語る。

 「もともと地域の高齢者を対象に、生活上の困りごとを解決するサービスを提供していましたが、最も依頼が多かったのが掃除でした。そこで、それを専門に手掛ける会社を作ろうと考えました。ある清掃会社にノウハウを学びに行ったのですが、強力な洗剤や薬剤を大量に使い、そのまま排水として流す様子を見て「清掃する建物は綺麗にするけど、自分に関係のない場所はどれだけ汚してもいいという考え方なのだろうか、と疑問に思ったのです」

 そこで開発したのが、社名と同じ洗剤の「エシカルノーマル」。あるメーカーよりOEM供給されており、現在、同社と全国4カ所のフランチャイズ店(11月より1店舗追加予定)だけで利用されている。

 最大の特徴は、一般的に建物クリーニングの現場で使用される洗剤・薬剤に比べて、人体への有毒性を80%軽減したこと。

 「例えば、乳幼児やペットは常に顔が床から近い所にありますので洗剤の有害性の影響を受ける可能性が高くなります。当社の洗剤でしたらそうした家庭でも安心して使用できます」

 また、同社が重視しているのがエアコンのクリーニング。クリーニングに使用した洗剤や薬剤はどうしてもエアコン本体内に残留してしまうという。そのため、作動させると洗剤・薬剤に含まれる成分が室内に拡散されてしまう。

 「花粉症の人がいるのと同様に、洗剤などに含まれる化学性物質にアレルギーを持つ人がいます。しかし、花粉症などと違ってそれが広く世間に認知されておらず、適切な対応がとられていないことが大半です。結果として当人が『体調不良』が原因で退職をするなどのケースが少なくありません。離職防止の観点からも、適切なエアコンクリーニングは重要です」

 また同社では、光触媒作用により、抗ウイルス・抗菌・消臭などの効果をもたらすオリジナルの業務用エアコンフィルター「エシカルフィルター」の販売も行っており、「エシカルノーマル」を活用したクリーニングと合わせて提案している。こちらもメーカーからのOEM供給だが、メーカーが別ブランドで直接供給するフィルターは、複数の大手外食チェーン店で全店導入されている。

 営業範囲は関西一円。ただし和歌山県と奈良県は地域等により応相談。また、徳島県と大分県にも直営店舗がある。現在、全体に占める非住宅案件の割合は約2割だが、今後引き上げていく予定。さらに全国でフランチャイズ加盟店を募集しており、サービスネットワークの構築を進めている。フランチャイズ加盟は個人でも可能で、開業費用は建物クリーニング業務が全く未経験の場合で200万円強が目安。

 これまでにも「自然派」を掲げて差別化を図った建物クリーニング事業者はいたが、洗剤の洗浄力が弱いことから作業時間が長くなり、人件費の絡みで施工料金も高くなってしまうというデメリットがあった。同社の場合、作業時間は一般的な建物クリーニング業者の1・2倍程度。施工料金は大手チェーン店とほぼ同水準となっている。

 最後に、スタッフの清潔感にもこだわっているのも同社の特徴の一つ。
 「ビルやマンションの共用部清掃などは、人の目に触れる時間帯に行うこともあります。前の現場で汗まみれになった格好で作業をしたのでは、見る人に不快感を与え、建物のイメージも悪くなります。スタッフは次の現場に向かう前に、新しいユニフォームに着替えるようにしています」

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