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LOOPLACE 「gran+KINSHICHO」完成 築37年のビルをスタートアップなどに向け再生

 LOOPLACE(東京都千代田区)は今月21日、墨田区錦糸に取得した築古ビルの再生プロジェクト「gran+KINSHICHO(グランプラス)」のリノベーションを完了する。

2フロアをフルセットアップ リラックス感のある空間に

 「gran+KINSHICHO」は延床面積260・82㎡、敷地面積73・61㎡、地上5階建て。下層階を事務所、上層階を住居として利用していた築37年のS造物件となる。

 再生の経緯についてRe;place事業部 ソリューションGr.プロジェクトマネージャーの齋藤丈寛氏は「『錦糸町』駅徒歩3分というアクセスの良さ、新耐震でありながらテナントが入っていない状況に伸び代を感じ取得を決めました。錦糸町は商業が盛んな場所ではありますが、却って新しい需要が取り込めると期待しています」と話す。

 コンセプトは「ほしい未来は自分たちでつくる、企業や人たちへ向けたイノベーションスタジオ」。スタートアップやベンチャーなどの若い企業をターゲットに、幅広いビジネスシーンに対応できる場を作り上げている。

 「gran+」シリーズの直近では、1棟貸しのニーズを想定した不動産再生を手掛けてきた。一方で今回の「gran+KINSHICHO」では、可動部で区画を切替え、2社を誘致できる運用としている。

 「取得時は1棟貸しの想定でしたが、商品化の際に1棟を2分割に切り替えられる計画としました。101・71㎡の1~2階を78万円、143・00㎡と少し広めの3~5階は屋上付きで99万5000円と、募集賃料も2種類設定しています。当物件にはエレベーターがありませんので、1棟貸しの想定のみだと、投資家オーナー様がテナント退去の際に過大なリスクを感じる可能性があります。今回は上層階と下層階に分割してのリーシングを可能にすることで入居者付のリスクヘッジにつなげました」(齋藤氏)

 リノベーションに際し、外壁を従前の深緑色から白を基調としたデザインに変更。1階~2階間の階段が二方向から伸びているつくりを生かし、2テナント貸しの際は、一つは共用階段に、もう一つは内扉で区切って1~2階のテナント専用の階段となる。老朽化に伴いトイレや水回りはすべて交換。2階と4階のオフィスには、間仕切りで仕切った会議スペースを設けている。

 1階と5階はフルセットアップを実施。カウンターデスクやベンチなどを配置し、商談から個人の作業、社内ミーティング、ショールームまで様々なシーンに応じて働く場を使い分けられる。木目調などの内装材を活用した、リラックス感のある空間が魅力となる。

 屋上には、5階から外階段で繋がるルーフトップテラスを整備。ワーカーの憩いの場となることも見据えて、スカイツリービューを生かした空間としている。
 今後はリノベーションの完了を控え、リーシングを進めていく予定だ。

 「開放的に使っていただくため、オフィスフロアの天井はあらわしにする予定でした。しかしいざ天井塗装をはがすとS造特有の耐火吹き付け材が剥離する懸念が想定されたため、今回は天井を新しく作り直しています。当社ではこれまでRC造のリノベーションがメーンでしたが、今回S造の再生について知見も得られ新たな強みとなりました。再開発で発展が目覚ましいエリアの強みを生かして、間もなくリーシングを進めていきたいと思います」(齋藤氏)

 「gran+KINSHICHO」では今月25~28日の4日間で完成内覧会を実施。リーシングが完了次第、物件の売却を進める見込みだ。

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